
相続とは、狭義では人が死亡した場合に、その死者と一定の親族関係にある者が財産上の権利義務を当然かつ”包括的”に承継することをいう。狭義の相続に遺言による財産上の処分(遺贈)を含めて、人が死亡した場合に、その者の財産上の法律関係が他の人に移転することを広義の相続という。
財産には、不動産、預貯金・株式・売掛金債権等金銭、それに付随する権利義務のみでなく各種ローン、借入金・買掛金等負債、また保証人・連帯保証などの保証債務も含まれます。”包括的”とありますので特定の財産のみを選択することはできません。財産も負債も包括して相続するか放棄するかの判断が必要となります。

相続開始の原因は、現民法では、人の死亡によって開始します。死亡以外に相続開始の原因はありません。
旧民法では隠居による生前相続の制度がありました。相続関係は数代にわたることが多くこの場合旧民法の知識も必要となります。明治31年に制定された旧民法は昭和22年5月2日までに開始した全ての相続に原則適用されます。旧民法の相続は戸主の身分や地位を承継する「家督相続」と家族の死亡によって発生する「遺産相続」がありました。
また相続原因も現民法と違い60歳になると老衰を理由に家督を次の法定代理人に譲り、自分は戸主の地位を退く「隠居」の制度がありました。尚、昭和22年5月3日から現行民法が施行される昭和23年1月1日までの期間は家督相続は適用されず「日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する規定」が適用され配偶者の相続権が認められています。

相続開始の時期は、人が死亡した瞬間です。被相続人の権利義務はその死亡と同時に相続人に移転するのであって遺産分割協議や相続登記などの相続手続きが完了した時ではありません。権利義務に一瞬たりとも無主の状態は存在しないのです。たとえ相続人が被相続人の死亡を知らなかったとしてもです。そしてこのことは相続開始時に存在している者のみが相続人になれるということを意味しています。
但し法律は次のような例外を認めています。
①胎児の出産擬制 ②代襲相続(後述参照)
相続人が複数の場合は、均等割りすることになります。 但し、非嫡出子(戸籍上の婚姻外の子)は嫡出子の、異父母の兄弟姉妹は同父母の兄弟姉妹の、それぞれ2分の1の相続分になります。
配偶者が全体の2分の1、残り2分の1を子が均等割りすることになります。但し、非嫡出子(戸籍上の婚姻外の子)は嫡出子の2分の1の相続分になります。
配偶者が全体の3分の2、残り3分の1を直系尊属が均等割りすることになります。
配偶者が全体の4分の3、残り4分の1を兄弟姉妹が均等割りすることになります。但し、異父母の兄弟姉妹は同父母の兄弟姉妹の2分の1の相続分になります。

本来の相続人が死亡している場合や、相続欠格・相続廃除の場合、その相続人の子(直系尊属の場合は、上の世代へ遡ります。)が相続することができます。 これを代襲相続と言います。
代襲相続は、相続人になるはずだった人が子の場合と直系尊属の場合は、その代襲相続が「何代まで…」といった際限がなく、代襲されるのに対し、相続人になるはずだった人が兄弟姉妹の場合は、一代限り、つまり被相続人の甥・姪までしか代襲されません。

相続人は、その自由意志によって、相続権を放棄することができます(相続放棄)。 相続放棄をすると、その相続人は、最初から存在しなかったことになります。その為、他の相続人の相続割合が増えたり、同順位の相続人がいない場合は、次順位の相続人(→法定相続人)に相続権が発生します。 ただし、生命保険金は、民法上の相続財産に含まれない為、相続放棄をした相続人でも受け取ることができます。 相続放棄をする場合は、被相続人の死亡を知ったとき(相続が開始したとき)から3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述をします。3ヶ月を経過すると、相続放棄をすることができなくなり、単純承認したことになります。

相続人が存在することは明らかであるが、その所在が不明であるという場合があります。そのままでは財産処分や配偶者は再婚もできません。この場合、不在者財産の財産管理あるいは失踪宣告(後述)が必要です。失踪宣告がなされると失踪者は死亡したものとみなされ相続人となり得なく婚姻関係もは終了します。

相続により、名義変更が必要なものは、主に以下のようなものがあります。
不動産、預貯金、株式、自動車など。なお、これらの手続きを行う際には、被相続人の除籍謄本や死亡診断書、相続人の戸籍謄本、印鑑証明書などが必要になることが多々あります。 これらの書類は相続手続きにも必要ですので、必要な数を併せて取得するようにしましょう。
遺産分割協議は、代理人によってもなし得ます。ただし、双方代理は禁止されていますので、一人の代理人は、一人の相続人のみしか代理できません。たとえば、代理人による遺産分割協議書の公正証書化についても、各相続人ごとに各別の代理人が選任されていなければなりません。
胎児も相続権を有しますので、胎児を無視して遺産分割協議をすることはできません。この場合は、法定代理人となる母親が胎児のために遺産分割協議に参加することになります。しかし、胎児が死産の場合は相続人とはなりません。また、母親も法定相続人の場合は、利益が相反することになりますので、このようなときは、胎児のために特別代理人の選任を必要とします。
包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有しますから、参加させずになした遺産分割協議は無効です。
未成年者および成年被後見人の場合には、法定代理人が遺産分割協議に参加します。また、法定代理人が、法定相続人の場合は、胎児のときと同様に利益が相反するので、特別代理人の選任が必要となります。特別代理人も制限能力者ごとに選任される必要があります。一方、被保佐人の場合は、保佐人の同意を得て遺産分割協議に参加できます。

この遺産分割協議書と相続人調査で収集した戸籍や住民票などが、相続登記の添付書類となります。これらの書類を持参して、法務局に手続を相談されるか、司法書士に登記申請代理を依頼することになります。 また、未登記建物について、新たに登記するときは、まず、表示登記を申請する必要がありますが、申請には測量を伴う図面の添付が必要となりますので、土地家屋調査士に申請代理を依頼した方がいいかもしれません。その後、所有権保存登記をご自身若しくは司法書士に依頼することになります。被相続人名義の未登記家屋を相続し、そのまま(登記をせず)使用する場合は、未登記家屋の課税台帳登録名義人変更届(各市町村によって名前は異なります。)を資産税課などの固定資産税の担当課に提出して、納税義務者を被相続人から相続人に変更してもらいましょう。その際に添付する書類は、遺産分割協議書のコピーや戸籍などをご用意されれば良いかと思いますが、各市町村によって若干異なると思いますので、事前に担当課でご確認ください。この届出をしておかないと、いつまでも亡くなった被相続人の名前で固定資産税の請求がきてしまいます。また、相続人名義に変更された納税義務者証明書は、表示登記をされる際に、添付を要する所有権証明書の一部とすることができます。
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